あれ?どうした、何かおかしいぞ?
ああ!全然体動かねぇ!やばい確実金縛りかかってる!
なんだよう、白い光が暗闇に漏れてるってのに何で金縛り合うんだよう!
ってか瞼動かねぇ。やべ、マジやばいよこれ。俺かなり重傷だよ。
あれ?ああ、なんか聞こえてきちゃったよ、
泣き声なんて聞こえてきちゃったよ。
どことなく俺の娘の声質に似てるな。
ああ嫌だよう怖いよう本当どうなってんだよう俺の方が泣きたいよう。
「ほら、泣かないの」
って今度は母親の声かよ。ってか俺の妻に似てるな。
「さようなら、あなた」
ああ、とっとと失せてくれ。
早く俺を金縛りから解放してくれ。ってか今何時なんだよーマジ勘弁してくれよ。
……ああ、遂に夜になっちゃった。一日中金縛りとかどうなってんだよこれ。
瞼閉じたままだし。あのさよならって何だったんだよ。
あー、眠たくなってきた、ってか元から眠ってんのかコレは。
なんか聞こえっぞ。今度は何だ?
「聞こえますか?私は医者です。あなたは……」
今度は医者の霊かよ。ああ、いいや。もう眠ろ。
【解説】
語り手は気付いていないがすでに脳死状態。
だから娘の泣き声や奥さんの声がする。
『さようなら、あなた』
も最後の別れの言葉。
しかし、脳死状態って実際このように考えられるのだろうか??
脳が死んでいるんだから考えられないような…
とはいえ、実際にその状態にならない限り
絶対にわからないわけだが。
しかし、脳死状態が仮に何も考えられない状態だとしたら、
『聞こえますか?私は医者です。あなたは……』
という言葉から医者がわざと脳死状態と
診断したと思われる。
ドナーなどのため…?
何はともあれ、意識がある状態のまま
死を宣言されるのは非常につらいものがある。