俺が夜中に車に乗ってたら、前に小学生くらいの男の子がいた。
「こんな時間に、危ないなー」と思っていたら、なんだか様子がおかしい。
ふらふらとしている。
と、急に男の子は車道に転がった。
キキキキーーーーードン!!
ぶつかった・・・
どうしよう・・・
下りたほうがいいのか・・・
関わり合いになりたくなかった俺は、バックしてさっさとその場を離れた。
その後、そこを通る機会があった。
あれが幽霊だったらまだ良いのに・・・
そう思って現場あたりを見ると
「○月○日○時ごろここで轢き逃げがありました。」
「目撃された方下記の電話番号に情報提供おねがいします。」
俺は家に帰り悩んだ。
警察に行くべきか・・・
だがきっと、相当な時間を奪われてしまう・・・
いやだ。俺は関係ない・・・
そうこう思っていると、ニュース速報が。
「△市×町で発生した轢き逃げの容疑者が逮捕されました。」
ああ、そうか・・・良かった。
俺はほっと胸をなでおろした。
【解説】
『なんだか様子がおかしい。』
『ふらふらとしている。』
から男の子はすでに轢き逃げにあっていた。
まともに歩けないほどの重症ではあるが
息はあった男の子を再度轢いて殺してしまったのが
語り手である。
関わり合いになりたくない、
相当な時間を奪われる、
語り手自身が起こした罪であるのに、
自分は関係ない、と思いこもうとするのは、
轢き逃げをしたときの心理なのだろうか…。