女の声が聞こえた。不気味でヒステリックな響きを含んだ声だった。
本気で質問に答えないと殺されかねない程の危うさが漂っている。
「ねぇ、あなたはいつ死にたい?」
いつって、そりゃ早死にするのは嫌さ。
四十年後、五十年後、まあそんなもんだろ
…るるる、ぷるるる、
うう眠い。着信きてるな。何か変な夢をみていた気がする。
ピッ、
「おい!竹田!集合時間すぎてるぞ。いつになったらくるんだ!」
「ごめん、すぐいく」
「そう、わかった」
眠気が抜けない、俺は心霊現象完全否て…
【解説】
『ねぇ、あなたはいつ死にたい?』
という言葉に語り手は
『四十年後、五十年後、まあそんなもんだろ』
と思っただけ。
実際に目を覚ましてから、
『ごめん、すぐいく』
と答えてしまった。
そのため、心霊現象を完全否定と言い終わる前に
語り手は死んでしまった。
…果たして五十年後と言った場合は、
それまで生きていることを保証してくれるのだろうか…?