【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】記憶喪失

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目が覚めると、俺は病院のベッドに寝転んでいた。

 

辺りを見渡していると、ドアから人が入ってきた。

 

俺は驚いた。

 

「A君! 気がついたのね!?」

 

女は俺に駆け寄り、ことの次第を話した。

 

彼女はBと名乗り、俺は交通事故に遭ってずっと意識不明だったという。

 

すぐに医者が俺を診てくれた。

 

呆然としている俺を見て「ショックによる記憶喪失」だと下した。

 

Bは涙を流した。

 

俺と彼女は付き合っていて、すごく心配したと泣いている。

 

事故の日、俺とBはケンカをして俺が家を飛び出したところ事故にあったという。

 

近隣の住民も怒声を聞いていて、心配していたらしい。

 


Bが笑いながら「栄養とらなきゃね。果物ナイフとって」と言う。

 

果物の盛り合わせとナイフに目を向け、

俺がナイフそれを握ったときにドアが音を響かせて開いた。

 

「警察の者です。Bさんですね?
あなたを殺人未遂の容疑で逮捕します」

 

数人の男のうちの1人が令状の紙を出して、Bの腕をつかんだ。

 

Bはすがるように俺を見たが、あっけなく連れて行かれた。

 

俺は果物ナイフを置いた。

 


後日、新聞には真相が記されていた。

 

Bは俺と付き合っていたが、浮気を見つけられて俺に別れを告げられた。

 

Bは嫌がったが俺は一方的に別れを突きつけて家を後にした。

 

Bは俺を追い、そして車道に出たところでBは俺を後ろから突き飛ばした。

 

近所の人がそれを見ていたが、Bの形相に恐怖を感じて今まで言い出せなかったらしい。

 

俺はそばにある果物とナイフを見た。

 

ナイフを握り、誰にも聞こえないよう呟いた。

 

「なんで余計なことするかなあ……」

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

『果物の盛り合わせとナイフに目を向け、

俺がナイフそれを握ったときに』

『ナイフを握り、誰にも聞こえないよう呟いた。

 「なんで余計なことするかなあ……」』

 

といったところから、語り手は果物ナイフで

Bさんを刺そうとしていた。

 

ナイフを渡すのであれば、

「ナイフを持った時に」

「ナイフを渡そうとした時に」

となるはずであるが、

この場合『握って』いる。

 

つまり語り手自身が何らかに使用しようとしているということ。

 

Bさんがいなくなった後にナイフを握り、

『なんで余計なことするかなあ……』

ということからBさんを誘うとしたのだろう。

 

そもそも語り手自身が本当に『記憶喪失』だったのか不明である。

 

内容は全て客観的になっているが、

語り手は一度も「記憶をなくした」とは言っていない。

 

医者は

『呆然としている俺を見て「ショックによる記憶喪失」』

と判断したが、茫然としていたのは、

自分を突き飛ばしたBがこの場にいることによるものとも言える。

 

さすがに突き飛ばした相手が隣にいたら、

頭が混乱するだろう。

 

Bさんの話を聞いて、

徐々に頭の混乱が溶けてきたため、

果物ナイフで刺そうとしたと考えられる。

 

また、

『俺は驚いた。』

とBさんが病室に入ってきた時に驚いている。

 

これもまた

「なんでこいつが…」

という理由で驚いたとも言えるだろう。

 

文章中だと平気で嘘をつけるBさん自体が怖いが、

記憶喪失と『簡単に誤認する』医者も非常に怖いものである…。