ある女性が大学受験に悩んでいた。
すると突然目の前に男性が現れ、言った。
「あなたの願いは?」
女性は大学に合格したいと言った。
その後、見事女性は大学に合格した。
何年か後にその女性が就職に悩んでいた。
すると突然男性の声が言った。
「あなたの願いは?」
女性は就職したいと言った。
その後、見事女性は就職した。
そのまた何年か後にその女性が人生に悩んでいた。
すると突然男性が現れ、言った。
「あなたの願いは?」
女性は答えなかった。
聞こえなかったようだった。
男性は言った。
「順番を間違えたようだな……」
【解説】
『突然目の前に男性が現れ』
『突然男性の声が言った』
『突然男性が現れ』
と、男性が現れた時の描写が少し違っている。
『目の前に』
つまり自分の目で認識した。
『声が言った』
つまり自分の耳で認識した。
そして、最後に現れた時は反応がなかった。
男性が最後に
『順番を間違えたようだな……』
と言っているが、
これはおそらく願い事を叶えた代償のことを言っているのだろう。
最初は目で認識していたのに、
次は耳で認識している。
つまり最初で視覚を奪われた。
次に耳で認識しているのに、
その後は聞こえていない。
つまり、次に聴覚を奪われた。
最後に視覚も聴覚も奪われていて、
反応ができなくなってしまったため、
『順番を間違えたようだな……』
と、嘆いてしまっている。
願いを叶えた代償…。
この男性は悪魔的な何かであろうが、
なんともおまぬけさんである。