少女のところにお星さまが降り立ちました。
「なんでも一つ願いをかなえてあげよう」
お星さまはいいました。
少女は泣いていました。
「家族を消してちょうだい!あんな家族、まっぴらよ!」
次の日、少女が目を覚まして一階へおりると、いつものようにおかあさんと
おとうさんとおにいちゃんがいました。
少女は後悔しました。
その夜、再びお星さまは少女の目の前にあらわれました。
「気に入ってもらえたかな」
少女はいいました。
「昨日のおねがいをとりけしてちょうだい」
お星さまはいいました。
「一度かなえたおねがいはとりけせないよ」
少女は泣きました。
【解説】
お星さまに家族を消すように頼んだにもかかわらず、家族は消えていなかった。
なぜならば、本当の家族ではなかったからである。
どういう経緯でかはわからないが、女の子は血のつながらない偽の家族と生活していたのだろう。
本当の家族が消えてしまったと悟った少女はただただ泣くしかない。
人によって家族の定義は曖昧だろう。
この話のなかでは「血」が家族を結びつけるものとなっている。
もしかしたら、この定義に違和感もしくは怒りを感じる者もいるかもしれない。
しかし、この話が他の家族の定義を否定するものではないことをわかってもらいたい。