私は30歳の主婦。
私には可愛い娘と優しい旦那がいる。
とても愛している。
つい先日娘の可愛がっていた猫と犬が、
2匹とも亡くなってしまった。
娘はとても悲しんでいた。
優しい子。
娘は、今年6歳になったばかりでお人形が大好き。
娘にはいつも
「どんなものにも命があるだから大切にしなさい」
と教えている。
草や樹だって、猫や犬だって、お人形さんだって、
人間と同じ様に生きているんだと教えている。
ある日娘が一番のお気に入りだった
くまの人形が壊れてしまった。
少し破れてしまったり
目が取れてしまったくらいなら
直してあげられたのだが、
かなり破れて形も分からないくらいになっていたので、
捨てる事にした。
娘は号泣しながらも
「今までありがとう」
と言って
そっと袋の中にくまの人形を入れた。
やっぱり優しい子。
それから数日経ったある日曜日の朝。
娘は旦那と家で遊んでいたので私は、
一人で買い物に行く事にした。
一人でゆっくり買い物が出来、
気付いた時には一時間以上経っていた。
私は急いで家に帰った。
『2人共お腹すかせてるだろうなぁ』
なんて考えながら。
家に着き玄関を開けると娘が立っていた。
「ママ遅い~」
と言いながら
私の手を引っ張りリビングに向かった。
私は娘に
「どうしたの?」
と聞くと娘は
「リビングに入れば分かるよ」
とだけ言って私の手を離し少し後ろにずれた。
私は腰がくだけ子供の様な悲鳴をあげた。
「ママ命は大切なのよ。でも私にも簡単に壊せた」
娘はくすりと笑った。
そして、娘は小さな手に包丁を握りしめこう言った。
「いままでありがとう」
ソファーには首に縄跳びが巻き付いて死んでいる
無惨な旦那の姿があった。
【解説】
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