【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】親殺し

僕は今、パトカーの中で昨日からの出来事を振り返っている。

 

僕は学校から帰り、一人部屋で勉強をしていた。

 

「コンコン…、ご飯できたわよ…」

 

力無い声でドア越しに母が僕を呼んだ。

 

「すぐに行くよ」

 

僕は勉強に切りをつけ、
階段を降りて食卓に向かった。

 

食事をしていると父が、

 

「もう来週だろ、受験勉強の方はどうだ?」

 

と聞いてきたので僕は、

 

「うん、順調だよ」

 

と答えた。

 

この日、食卓で交わされた会話はそれだけだった…。

 

その後部屋に戻り勉強をしていると、
父と母がなにやら言い争う声が聞こえてきた。

 

またケンカか…。

 

僕はここ数年、
母の笑顔を見た記憶が無い。

 

特に最近はケンカが絶えず、
毎日のように言い争う声が聞こえていた。

 

(もういい加減にしてくれ!)

 

毎日のケンカと受験勉強のストレスで
僕は頭がおかしくなりそうだった。

 

その次の瞬間、強烈な睡魔に襲われ、
言い争う声がだんだんと遠のいていった。

 

『ジリリリリ!』

 

僕は目覚ましの音で目を覚まし、
重いまぶたを上げた。

 

まだ暗い。

 

どうやら最後の追い込みの為にかけた目覚ましのようだ。

 

すると、まだぼんやりとした視界に不思議なものが飛び込んできた。

 

(手形…?)

 

さっき止めた目覚まし時計に
手形のようなものがついている。

 

次の瞬間、睡魔は完全に吹き飛んだ。

 

飛び起きると、
机の上に開いたままになっていたノートに
赤黒い液体がベットリとついていた。

 

僕は慌てて自分の頭を触ってみたが、
どこにも怪我はみあたらないし、
痛みも感じない。

 

焦って洗面所に行き、鏡を見ると、
そこには全身血だらけの自分が立っていた…。

 

僕は怖くなり、
急いで階段を駆け下りた。

 

すると、廊下に母が座り込み、
怯えた表情で僕を見ていた。

 

「母さん、僕、起きたらこんなことになってて、何がなんだか…」

 

そう言いながら僕が近付くと、
母は後ずさりをして逃げていった。

 

僕はただただ怖くて母に近づいて行ったがその時、
食卓のドアが開いていることに気が付いた。

 

中を覗くと
そこには血だまりの中に倒れている父の姿があった。

 

確か何かの本で読んだことがある。

 

『人は極度のストレスを感じると
自分の精神を守る為にもう一人の人格を作り出すことがある』

 

変わり果てた父の姿、僕を見る母の目、
極度のストレス、その直後の強烈な眠気、
全ての線が繋がった。

 

僕は…。

 

「僕が…やったの?」

 

それを聞いた母は目を覆い隠し、
泣き崩れてしまった。

 

僕はしばらく呆然として、
泣き崩れた母の姿を見ていたが、
やがて落ち着き、警察に自主することを決意した。

 

「僕は…父を殺しました…」

 

しばらくすると警察が到着し、
パトカーで連行された。

 

僕は今、パトカーの中で振り返っている。

 

泣き崩れた母の姿を。

 

目を覆い、唇を歪ませて震える母の姿を…。

 

 

【解説】

 

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【意味怖】白い影

俺の学校は文武両道を校訓としていて、
スポーツが盛んだ。

 

推薦なんかも一杯とっていて、
かく言う俺もその一人だ。

 

地元じゃちょっとは名を馳せた俺だが、
ここへ来てからというもの、
毎日監督から謂れのない暴言を吐かれる。

 

到底敵わないライバルだって出来た。

 

いっそサッカーなんか辞めてしまおうかと何度も思う。

 

しかし部活を辞めれば、
勉強の出来ない俺は退学しなければならない。

 

それくらい厳しい高校だったのだ。

 

ある日、特別メニューをこなした俺は一人寮へと急いでいた。

 

山奥にある学校なので夜になると恐ろしい程静かだった。

 

目の隅にうつる真っ暗な校舎が恐怖を十割増しにしている。

 

いつもなら見ないように心掛けているのだが、
その日はつい校舎を見上げてしまった。

 

すると白いもの屋上からが落ちてくるではないか。

 

まさか…幽霊?

 

怖かったが見てしまった以上、
確認する他ない。

 

俺は校舎に行って、付近を調べた。

 

幽霊は、いなかった。

 

何も見なかった事にしよう。

 

そう思って寮へ帰っていった。

 

また別の日の事。

 

その日はチームメイトと一緒だった。

 

何気なく校舎を見やると、
白い影が屋上から落ちていく。

 

しかも時間を置いて何度も何度も。

 

「おい、あれ…」

 

我慢できなくなって言葉を漏らした。

 

「屋上から何か落ちてないか?」

 

「こんな時に怪談かよ?」

 

「洒落になんねーぞ」

 

「違うんだ、
本当に何か白いものが落ちてるんだよ」

 

「どこだ?」

 

「何も見えないけど」

 

「今だって落ちてる!」

 

「はいはい、
エース様ともなると心労がたえませんなー」

 

最近レギュラーをとった俺は
しばしばこういう皮肉を言われる。

 

「気のせいだよ、お前疲れてんだよ」

 

「早く飯食って寝よーぜ」

 

深夜。

 

あの白い影が頭をちらついて離れない。

 

何故俺にしか見えなかったのだろう。

 

皆の言う通り疲れているのか?

 

どうせ気になって眠れないならもう一度見に行ってみよう。

 

校舎に着くと、今度はいた。

 

あちこち折れ曲がった姿で何度も落ちてくる。

 

間違いない、幽霊だ。

 

俺はたまらなくなって叫んだ。

 

「やめろよ、もう死んでるんだぞ!?」

 

そいつはぐちゃぐちゃの顔をこちらに向けて言った。

 

「お前が来た時には生きていたんだよ」

 

 

【解説】

 

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