仕事が終わり帰ろうとした時、
メールが届いた。
おめでとうございます
あなたに素敵な話を
プレゼントします。
この話はあなたと
わたしの未来・・・
いろんな出来事が
待っているのでしょう
あなたとわたし
やっぱり愛し合うもの同士は
むすばれなければいけません・・・
もし、むすばれないのなら
わたしはあなたを・・・
恐らく最近付き纏ってくるストーカーからだ。
とりあえず
『キモいんだよ！いい加減にしろ！！！』
と返信した。
今日は付き合って４年目の彼女が、
俺１人の為に手料理を振る舞ってくれる。
今日は６月２日。
俺の３６才の誕生日だ。
仕事を終え
彼女の７階建てのマンションへ着いた。
エレベーターにのり
彼女の部屋のある３階のボタンを押す。
エレベーターから降り、
彼女の部屋の前まできて呼び鈴を押した。
・・・カチャ
ドアが開くと
俺は慌てて後退り転んでしまった。
『おい、包丁・・・』
『ごめん！料理の途中だったの。』
ちょっと天然な彼女は度々俺を焦らせてくれる。
そんなところが可愛いのだが・・・
彼女の部屋に入ると、
彼女はコーヒーをいれてくれた。
『もうちょっと時間かかるから
コーヒー飲んで待ってて。』
時計を見るともう９時だ。
アーモンドの香ばしい香りのするフレーバーコーヒーのようだ。
その香りを愉しみながら待っていると、
１品目の料理が出てきた。
メインディッシュはハンバーグのようだ。
続いてサラダを運んできた。
なんの野菜かと聞いてみると、
彼女の実家から送ってきた山菜とキノコらしい。
料理が出来上がるのを待っていると、
最近疎遠になっていた友人から電話が掛かってきた。
『もしもし・・・』
『誕生日おめでとう！』
『ああ、ありがとう・・・。
久しぶりだな・・・
７ヶ月ぶり・・いや、５ヶ月か・・・』
彼女の料理が出来るのを待っている間、
久しぶりだったこともあり
会話に華が咲いていた。
『あ、ちょっと待ってて・・』
彼女がワインを持って待っていた。
『ねぇ、まだ話終わらないの？』
『おっ、準備出来たのか。
・・・悪い、彼女が料理作ってくれたからもう切るよ。』
俺は携帯を閉じた。
そして・・・
夜も更け眠りに就く。
しかし、俺は
二度と目を覚ますことはなかった・・・
【解説】
文中の数字を2個1セットとして
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おめでとうございます
あなたに素敵な話を
プレゼントします。
この話はあなたと
わたしの未来・・・
いろんな出来事が
待っているのでしょう
あなたとわたし
やっぱり愛し合うもの同士は
むすばれなければいけません・・・
もし、むすばれないのなら
わたしはあなたを・・・
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の中から
1つ目の数字は縦
2つ目の数字は横
として文字を抜き出していく。
『今日は付き合って４年目の彼女が、
俺１人の為に手料理を振る舞ってくれる』
縦4と横1なので、
『この話はあなたと』
の「こ」といった具合に…
こうやって見ていくと、
『今日は６月２日』
は「ろ」
『俺の３６才の誕生日だ』
は「し」
『仕事を終え
彼女の７階建てのマンションへ着いた。
エレベーターにのり
彼女の部屋のある３階のボタンを押す』
は「て」
『時計を見るともう９時だ。
アーモンドの香ばしい香りのするフレーバーコーヒーのようだ。
その香りを愉しみながら待っていると、
１品目の料理が出てきた』
は「や」
『ああ、ありがとう・・・。
久しぶりだな・・・
７ヶ月ぶり・・いや、５ヶ月か・・・』
は「る」
つまり、
「ころしてやる」
となる。
メールの内容の最後と組み合わせると
「もし、むすばれないのなら
わたしはあなたを・・・殺してやる」
ということに。
ちなみに最初のメールの文章で
『あなたに素敵な話を
プレゼントします。
この話はあなたと
わたしの未来・・・』
と書かれている話というのは、
『今日は付き合って４年目の彼女が、俺１人の為に手料理を振る舞ってくれる』
から
『・・・悪い、彼女が料理作ってくれたからもう切るよ』
までのこと。
ここの話は語り手の現実話ではなく、
ストーカーがメールで送ってきた妄想のお話ということ。
数字が暗号の解き方に関わってくることからもわかる。
語り手は最後まで読まずに
『キモいんだよ！いい加減にしろ！！！』
と返信し、
ストーカーを拒絶したので、
「もし、むすばれないのなら
わたしはあなたを・・・殺してやる」
という内容の通り、
語り手は殺されてしまった。
まぁ…最後まで読んだとしても
わけのわからない文章としか思わず、
数字が暗号を解く鍵だなんて気が付かないだろう。
仮に全ての意味を理解したところで、
結局は拒絶していただろうし…
語り手は殺される運命だった…と。
