いやー今日はマジ焦ったわ。
昼過ぎにお袋から電話が来て、
「父さんが倒れたらしい」
って。
すぐに搬送された病院にバイクで向かったけど、
その間ずっと親父のこと思い出してた。
今日の朝も、
いつものように「いってきます」と
笑顔で仕事へ向かった親父。
経理一筋25年の真面目なサラリーマン。
風邪で熱を出しても会社を休まない親父。
毎日往復2時間も満員電車に揺られてるのに
愚痴一つこぼさない親父。
頼むから無事でいてくれ!
祈りながらバイクを飛ばした。
病院について拍子抜け。
命に別状はなし、意識もある。
ただの貧血だったらしい。
心底ほっとした。
でも、心配してたって言うのは何か気恥ずかしくて
「マジで勘弁してくれよ~、
家のローンだって10年以上残ってるんだからさ~」
なんて冗談交じりで悪態ついちまった。
素直じゃねえなあ俺。
親父はバツが悪いのか
「すまん‥」とだけいって
後はずっとうつむいてたよ。
なんにせよ良かった。
救急車呼んでくれた
ウチの近所の公園の管理人さんには感謝してる。
【解説】
父は朝から
『往復2時間も満員電車に揺られて』
仕事に向かっているはずだが、
『救急車呼んでくれたウチの近所の公園の管理人さん』
とあるため、
近所の公園で倒れていたと思われる。
つまり、
『マジで勘弁してくれよ~、
家のローンだって10年以上残ってるんだからさ~』
という語り手の言葉に
『親父はバツが悪いのか
「すまん‥」とだけいって
後はずっとうつむいてたよ』
と父がなったのは、
父は今無職状態なため。
リストラなのか倒産なのかはわからないが、
仕事を失ったことを家族に言えなかったのだろう。
ローンのことだってあっただろうし…
そのため、仕事に行く振りをして
近所の公園で時間を潰していた。
…近所の公園だったら
すぐにバレそうなものであるが…
仕事を失ったことを隠す気持ちはわかるものの、
隠し続けるとどんどんひどいことになっていくので、
できる限り早めに打ち明けてほしいものである…