親友が
「二度と食べられない物を食わしてやろう」
と言ってきたので、
俺は是非ともご馳走になる事にした。
彼の家に招かれ、
リビングでそれが出てくるのを待っていた。
「さあ、こいつだ!」
と、彼が持ってきたのは
どこにでも売っていそうな菓子パンだった。
「おいおい、
これのどこが二度と食べられない物なんだ、
いつでも食えるじゃないか」
俺は不満気に言ってやった。
すると友人はこう答えた。
「いや、もう二度と食えないよ」
【解説】
語り手はこれから親友に殺される。
だから何を食べようと
それは『二度と食べられない物』である。
親友だと思っていたのは語り手だけだったか…
菓子パンを最後の食事にしようとしているのだから、
相手は親友だと思っていなかったんだろうなぁ…
親友…とまではいかなくても
友人だと思っていたのであれば、
もう少し良いものを食べさせていそう。
なので、相手からすれば
語り手はどうでも良い存在だったんだろうなぁ。
ただ、殺したい相手だった…と。