私の家の近所にあった、
店主が一人で切り盛りしている小さなレストラン。
味はなかなかだが
料理が運ばれてくるのにちょっと時間がかかる。
でも、文句をいう客は一人もいない。
「すいませんね、どうにも手が足りなくって」
最初は驚いたけど、
そんなことをまるで冗談のように笑って言う彼の笑顔に
私は少しずつ惹かれて行って、
今では、彼の右腕となって一緒に働いている。
【解説】
『すいませんね、どうにも手が足りなくって』
レストランの店主は比喩ではなく、
実際に片腕が無い。
だから時間がかかっても
『文句をいう客は一人もいない』
そんな店主を助けるために
語り手は右腕となって一緒に働いている。
最初は店主の無い腕が右腕で、
実際にその右腕になったのかと思ったが、
さすがに想像できなかったので、
文字通り店主の右腕として
店主を助けながら働いているという意味だろう。