ある大富豪は重度の金属アレルギーで
食器のナイフ・フォーク・スプーンの類は
全て純金を使用していた。
純金は非常に安定した物質なので
唯一金属アレルギーになることもない。
しかし、知らない人にとっては
いやみにしかうつらないし妬みの対象にもなる。
ある日、親戚がメイドたちの中に混じって
食器の片づけを手伝っていた。
「皆様がそんなことなさらなくても・・・・」
オロオロするメイドたちに親戚達は
「いつも大叔父様がお世話になっているから」
と笑顔で食器の手入れをしていた。
終わった後メイド長がこういった。
「誰ですか？
フォークなどの手入れを怠ったのは！
曇っているじゃないの！」
困ったメイドの一人がこう切り出した
「それは親戚の方々が・・・・・」
メイド長が納得したようにうなづくと、
スペアの食器を使うので曇ったフォークなどは
一切、旦那様に使わせないようにと厳しくメイドたちに言った後
「今後、親戚の方が来ても食器に触れることは止めさせなさい！」
と厳しく皆を叱咤した。
皆、口々にこういった。
「そうだよね・・・
こんなに綺麗だった純金曇らせて、
かえっていらないおせっかいなのよ！
『小さな親切大きなお世話』っていうけど
こんなに汚されても困っちゃうわ」
【解説】
金は含有率もよるけれども、
曇りにくい金属。
純金であるならなおさら
片づけをするだけで曇ることは考えづらい。
しかし、親戚の方々が食器に触れてから
食器が曇ってしまったようだ。
となると、
親戚が大富豪を殺すために
青酸ソーダを食器に塗った可能性がある。
青酸ソーダを塗ったことにより、
金の表面がわずかに溶け、
表面が曇った。
となると、親戚は財産狙いの犯行か？
それにしても…
『こんなに汚されても困っちゃうわ』
とメイドたちが言っているが…
そう思っているなら
親戚が帰った後にでもきちんと手入れをすればいいのに…
職務怠慢では？
などと思ってしまう…。
ただ、手入れをした場合
青酸ソーダが塗られた食器を使うことになるのだから
結果的に手入れをしなくてよかった、
ということになるだろうか…
