【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】6歳と4歳の息子

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私には6歳と4歳の息子が居る。

 

その日、雑誌編集者の妻は年末進行で仕事に出ていたので、
私が息子たちの面倒を見ることになっていた。

 

昼食を取り、三人で公園に出かけた。

 

私は誰もいない公園のベンチに座り、
読みかけの新書に目を落とした。

 

縄跳びがリズム良く空を切る音と一緒に、
下の息子の声が聞こえる。

 

「兄ちゃん、貸してよ」


「ねえ、こっち使っていいから!」

 

上の息子の青い縄跳びが欲しいのだろう。

 

下の息子のは、もっと短い赤い縄跳びだったからな。

 

せめて同じ色のものを買うべきだった。また大喧嘩になる。

 

この年頃の男の子が、自分から弟に物を貸すことは、普通ない。

 

それがこの日は兄が無視を決め込んでいるようだ。

 

となると、弟は私に泣きついてくるほかない。

 

下の息子が私の前に小走りでやってくる。

 

そらきた。私は本から目を上げた。

 

「兄ちゃんが冷たいよ」

 

まあ泣いてないだけ偉い。喧嘩もしなかったし。

 

おや、でもこいつはちゃんと兄の縄跳びを持っているじゃないか。

 

そこで私は言った。

 

「そんなことないよ。お兄ちゃんらしく縄跳びを貸してくれたろ。
ありがとうって言って、もうちょっと一緒に遊んでおいで」

 

私は再び本を開いた。弟の足音が遠ざかる。

 

「兄ちゃん、ありがとう」

 

の声のあとに、幼い手が拙く縄跳びを回す音が聞こえてきた。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『兄ちゃんが冷たいよ』

これは兄ちゃんの態度が冷たいわけではなく、

実際に体が冷たいということ。

 

つまり、兄はすでに死んでいると思われる。

 

『それがこの日は兄が無視を決め込んでいるようだ』

ということからも、

兄が死んでいると言えるだろう。

 

では、兄はいつ死んだのか?

 

最後に

『幼い手が拙く縄跳びを回す音が聞こえてきた』

というのは、弟の縄跳びの音だと思われる。

 

そして、

『縄跳びがリズム良く空を切る音と一緒に、
下の息子の声が聞こえる』

ということから

この時はまだ兄は生きていたのだろう。

 

その直後に

『兄ちゃん、貸してよ』
『ねえ、こっち使っていいから!』

という言い争いをしていることから、

この時に取り合いとなって

兄を殺してしまった?

 

それとも、飛んでいる最中の兄から縄跳びを取ろうとしたために

兄の縄跳びが兄の首にかかり、

そのまま絞めつけられ死んでしまった?

 

 

どちらにせよ兄が死んでしまったことに変わりはないが…

これの一番の問題は語り手だろう。

 

『誰もいない公園』で新書を読んでいたようだが、

縄跳びの音しか聞いておらず、

子供に関心を向けていない。

 

弟がいつ兄から縄跳びを手に入れたのかも

全くわかっていない。

 

兄がどこにいたのかすら気が付いていないだろう。

 

『誰もいない公園』だから

二人の姿はすぐに見渡せるだろうに…。

 

語り手が子供たちから目を離していたからこそ

起きてしまった事件と言えそうだ。

 

とはいえ、ずっと見ているわけにもいかないため

なかなか難しいものか…。

 

言い争っているようなことが聞こえていたのだから、

その時くらいきちんと確認すればよかったものだが…

 

実際にこのようなことが起きてもおかしくないため、

そこが怖いところだと感じてしまう。