俺はかつてアパートの101号室に住んでいた。
チャイムは鳴らない。カビくさいと…俗にいうボロアパート。
漫画を読みながら、ふと窓に目をやると友人の姿が…。
各部屋の玄関は裏手にあるため、アパートの訪問者は必ずこの101号室の窓を通るのだ。
『ドンドン』間髪入れずにドアを叩く音が聞こえた。
しばらくして友人が帰ると、俺はまた窓の方を向いて漫画を読み始めた。
すると一人の見知らぬ男が通り過ぎた。
俺は気にも止めず漫画を読んでいると、2~3分後に隣からチャイムの音が聞こえた。
それから30分は経っただろうか…
再び、用事を済ませた男が窓を通り過ぎると今度は目が合った。
翌日、警察が来て、隣の住人が殺されたのを知った。
警察の捜査によると、無差別強盗殺人だったそうだ。
【解説】
友人が来た際、
『『ドンドン』間髪入れずにドアを叩く音が聞こえた』
とあることから、廊下(通路?)に窓がついているのだろう。
なので、必ずこの窓を通る。
無差別強盗の殺人犯は2~3分後にとなりの部屋のチャイムを鳴らしているが、
友人が『間髪入れずに』とあるにも関わらず、
2~3分かかるのはおかしい。
つまり、最初は101号室、
語り手がターゲットだった。
しかし、チャイムが鳴らず誰も出てこないため、
101号室は諦め隣の住人を殺した。
『用事を済ませた男が窓を通り過ぎると今度は目が合った』
もし、来た時に目が合っていたらドアを叩かれ、
語り手が殺されていただろう。