電話帳をめくっていると
台所から母と祖父の話し声が聞こえる
「弥生さん、晩飯はまだかのう?」
「ええ!?何言ってるんですか?さっき召し上がったばかりじゃないですか!?」
「え?そ・・そうじゃったかのう?オカズはなんじゃったかな?」
「魚の煮付けにキンピラゴボウ、酢の物に大根の味噌汁ですよ
ちゃんとお義父さんの分も作ったじゃありませんか!
しっかりしてくださいよ!」
「・・・そうじゃったけ?けど腹減って仕方ないんじゃ・・」
「分かりました、後でおむすびこしらえますから先にお風呂に入っててください!」
「・・・、風呂ならさっき入ったとこなんじゃが・・」
「や~ね、おじいちゃんったらボケちゃって
きっとそのうち近所中に『嫁が飯を食わせてくれん』って言いふらすわよ」
「そうだね・・」
俺はため息をつきながら近所の蕎麦屋に出前を頼んだ
【解説】
『電話帳をめくっていると』
『俺はため息をつきながら近所の蕎麦屋に出前を頼んだ』
語り手もご飯を食べていないため、
蕎麦屋に出前を頼んだ。
ため息をついているところからも、
ボケているのは祖父ではなく、母なのだろう。
ご飯を食べさせたと思っているようなボケ方は
相当タチが悪い…。