王様に『世界一旨い料理』を作れと命じられた宮廷の料理人達。
しかし王様は世界中のどんな豪華な食材にも満足せず、
怒った王様は次々と役たたずで用無しの料理人を処刑していった。
そして最後に残った料理人は、明日は自分の番か、と頭を悩ませていた。
月明かりが彼を照らす。
…王様を満足させるには、ありきたりの食材ではダメだ…。
どうする??時間がない。
だがその料理人は閃いた。
「そうだアレしかない。」
早速、自慢のよく切れる包丁を取出し食材の調達に出かける事にした。
…そして、その料理人は、苦労の甲斐あって、何とか最高のエサを食って、
最高に自由気ままに飼育されて丸々肥えた『豚肉』を手にいれる事ができた。
しかしその料理を王様が口にする事は永遠になかった…。
【解説】
『最高のエサを食って、最高に自由気ままに飼育されて丸々肥えた『豚肉』』
『しかしその料理を王様が口にする事は永遠になかった…。』
『豚肉』と表現されているが、
この肉は王様自身の肉のことである。
最高のエサに自由気まま。
丸々と肥えた最高の肉。
しかし、王様は肉となってしまったため、
永遠に口にすることはなかった。
…そんな簡単に殺されてしまう警備も
どうなんだろう?と思ってしまうが。
それにしても、この料理人。
「殺される前に殺せ」
という考え方だったのか、
「本当に美味しいものは丸々と肥えた人肉である」
と知っていたのか。
丸々と肥えた人肉が美味しいと知っていたのであれば、
この料理人は他のところでも…。